ドジャースの試合では、選手のわずかな判断が勝敗を左右することがあります。今回話題になったキム・ヘソンのABSチャレンジも、まさにそうした場面のひとつでした。
もちろん、本人は真剣だったはずです。出場機会が限られる中で、自分の存在感を示したい気持ちもあったでしょう。ただ、それを踏まえてもなお、今回のチャレンジはチーム全体の流れを考えたときにまずかったと言わざるを得ません。
この記事では、なぜ多くのファンが今回のABSチャレンジを問題視したのか、そしてなぜ単なる一つのミス以上に受け止められたのかを、批判派の視点から整理していきます。
なぜキム・ヘソンのABSチャレンジは批判されたのか
今回もっとも批判が集まったのは、やはりチャレンジを使ったタイミングです。
ABSチャレンジは何度でも使えるものではなく、試合の中で限られた回数しかありません。だからこそ、本当に重要な場面で使うべきです。試合終盤の得点圏や、勝敗を左右しかねない打席ならともかく、序盤のこの場面で消費してしまうのは得策とは言えませんでした。
しかも問題なのは、際どい判定というより、かなりストライク寄りに見えた点です。もし本当に紙一重のコースならまだ理解できます。しかし、明確に覆りそうな根拠が薄い場面でチャレンジを使ってしまったことで、「なぜ今ここで」という印象を強く残しました。
ABSチャレンジは、自分の打席を守るためだけの個人技ではありません。チーム全体の戦略の中で使うべきものです。そう考えると、今回の判断はやはり甘かったと言わざるを得ないでしょう。
また、打者の感覚だけに頼った判断の危うさもあります。打席に立っている本人は外れていると感じたのかもしれませんが、打者は斜めの角度から球を見ることになります。捕手や審判とは見え方が違う以上、打者の感覚だけでチャレンジに踏み切るのは危険です。
特にメジャーの投手が投げる球はスピードもキレもあり、ギリギリのコースに決まる球も多いです。下のレベルでは見逃せていた球でも、上のレベルではストライクになる。その違いに適応できるかどうかは、打者として非常に重要なポイントです。
つまり今回の件は、単なる一度の判断ミスというよりも、選球眼や状況判断の精度に不安を感じさせたプレーでもありました。これがファンの厳しい反応につながったのだと思います。
さらに、このチャレンジ失敗はそれ単体で終わる話ではありませんでした。すでに一度チャレンジを使っていたチームにとって、この失敗によって以後の大事な場面で権利を使えなくなったからです。
野球では、試合序盤の一つの判断が終盤の選択肢を狭めることがあります。今回まさにその典型でした。あとになって「終盤に残しておければ」と思っても、一度使った権利は戻りません。
この日は走塁面でもちぐはぐさがあり、チーム全体が流れに乗れませんでした。そうした中で、不要とも思えるチャレンジ失敗は余計に悪目立ちしました。試合の空気を読めていないと見られてしまったのも無理はありません。
必死さは理解できても、今回の判断は擁護できない
ここは分けて考えたいところです。キム・ヘソンが必死だったことは理解できます。レギュラーが保証された立場ではなく、結果を出し続けなければ生き残れない。そういうプレッシャーの中でプレーしていれば、多少前のめりになるのも自然です。
ただ、気持ちが分かることと、判断が正しかったかどうかは別問題です。
プロの世界では、必死さだけでは評価されません。むしろ苦しい立場だからこそ、より冷静な判断が求められます。目立ちたい、結果を残したいという気持ちが先に立ち、チーム全体の流れより自分の打席を優先したように見えてしまえば、厳しく見られるのは避けられません。
今回のプレーに対して「もっと冷静であるべきだった」と感じたファンが多かったのは、そのためでしょう。積極性そのものは悪くありませんが、チームスポーツである以上、求められるのは何でも行くことではなく、行くべき場面と引くべき場面を見極める力です。
今回のABSチャレンジは、まさにその見極めを誤ったように見えました。だからこそ、単なる一打席の失敗以上に強い批判を集めたのだと思います。
もちろん、監督やチーム運用の問題を指摘する声にも一理はあります。チームとして「どういう場面で使うのか」をもっと明確に共有しておくべきだったのかもしれません。ただ、それを認めたうえでも、今回のプレー判断がまずかったという事実は変わりません。
監督のフォローが足りなかったとしても、運用が曖昧だったとしても、目の前の場面でチャレンジを使うかどうかを最終的に選んだのは本人です。だからこそ、批判の矛先が向くのは自然な流れです。
もし今後キム・ヘソンがメジャーで生き残っていくなら、必要なのは必死さを見せることだけではありません。限られた出場機会の中でも、焦らず、状況を読み、チームにとって最善の判断をできるか。その部分がより厳しく問われていくはずです。
まとめ
今回のキム・ヘソンのABSチャレンジについて、私はやはりまずい判断だったと思います。
- 序盤で使うべき場面ではなかった
- 判定が覆る可能性も高くは見えなかった
- チーム全体のチャレンジ権を無駄に消費した
- 結果として流れを悪くし、敗戦の一因になった
もちろん、本人の焦りや必死さは理解できます。ですが、プロの世界では「気持ちは分かる」で済まない場面があります。今回がまさにそうでした。
厳しい言い方にはなりますが、今回必要だったのはチャレンジする勇気ではなく、チャレンジしない冷静さだったのではないでしょうか。
